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かくれんぼ

 第二次ネバーランド大戦が勃発してしばらくたった頃、イフはよく行方不明になっていた。もともとが社交的な性格でもないくせに、いきなり軍に入って集団生活をしようというほうが無謀なのだ。
 結果、かなりの引きこもり症候群を発症させた挙句に対人恐怖症にさえかかりつつあったのである。王都ヘルハンプールの広い城の中、彼が隠れられるスペースはそれこそ山の様にあったのだ。
 イフが行方不明であると連絡を受ける度に、君主ロゼはそわそわと落ち着かなくなる。まるで年端もいかない弟を心配する姉のように。それを見かねて、バイアードが捜索に乗り出し、どこからともなくイフを連れてくる。それを見てロゼが安心する。
 いつからか、行方不明になったイフを探すのはバイアードの役目になっていた。

「見ーつけた」

 城の中庭、噴水の横にある木の上にイフはいた。バイアードの見たところ、彼は大抵高い所に姿を隠すのだ。他者の目線より高い位置にいれば見つかり難い事を、経験で知っているのだろう。
 太い枝に身体を預けて、猫のように器用な態勢で寝転がっている。彼は薄く目を開くが、バイアードの姿を確認するなり気だるそうにそっぽを向いてしまった。

「イフ、降りて来い。ロゼが心配している」
「・・・・・・・・・」
「イフ、聞いているんだろう。素直に降りてこないと力ずくで引きずり降ろすぞ」
「・・・・・・・・ふん」
「あ、お前できないって思ってるな。ようし、ヴァンパイアの王の実力を思い知らせてやろう」

 胸を張って宣言したバイアードは、呼吸を整えるとおもむろに上着を脱ぎ捨てた。何気なく彼の様子を伺っていたイフが、その行動にぎょっとする。

「おい! 何を・・・・・・」
「夜の王に抗う愚か者よ! 汝の血をもってこの大地を深紅に染めるがいい! デスペラード・マッスル!!!」

 バイアードの身体が緑色に膨れ上がったかと思うと、イフが登っていた木に衝撃が走る。幹は根元近くからなぎ倒され、メキメキと音をたてて倒れる木の枝からイフはあっさりと放り出されたのだった。

「うわあぁぁあ!!」
「おっと」

 投げ出されたイフの身体は、地面に叩きつけられる寸前にバイアードによって受け止められる。

「フッ、危ないところだったな」
「誰のせいだ誰の!!!」

 叫ぶが早いかイフは受け止められた態勢のままバイアードに鉄拳を見舞った。両手を塞がれていたバイアードは成す術もなくその拳を受けるが、強靭な彼の肉体に下手な攻撃は焼け石に水である。

「いっ・・・・・・てえぇー!!!」
「何やってんだお前」

 苦痛の悲鳴を上げたのは、殴られたバイアードではなくイフの方だった。殴った手のほうがじんじんとして痺れてくる。

「・・・・・っのヤロウ!! どーいう身体してやがるんだ!!」
「ふっ、日々の鍛錬の成果だ」
「うるせぇムキムキマッチョ!! 放せ、気色悪い!!」
「失礼なヤツだな。大体、助けてもらっておいて礼もないのか」
「だから誰のせいだそれは!!」
「お前が隠れたりするのが悪い。あまりロゼに心配をかけるもんじゃないぞ」
「・・・・・・!! ふん!!」
「こら、なんだその態度は」

 説教しながら、バイアードはイフを肩に担いで歩き始めた。

「バッ・・・・!! 放せバカ!!」
「放したら、また何処へ雲隠れするか分からんだろう」
「だからって担いだまま歩くな!!」
「なんだ、お姫様抱っこして欲しいのか?」
「ふざけるな!! いいから放せ!!」
「ハッハッハ、照れるな照れるな」
「後頭部にエルボーかますぞ貴様!!」
「そんなことしてみろ。そのケツ引っ叩いてくれるわ」
「・・・・・・・それはヤメロ」
「なら大人しくしていることだな」

 そんな会話を交わしながら、バイアードはイフをロゼのところへ連れて行く。彼が無事に発見されたことに、ロゼは心の底から安心した笑顔を見せた。その顔を見るのが、バイアードもイフも嫌いではなかった。


「まさかと思うが、お前ロゼの笑顔を見るために隠れるわけじゃないよな」

 それから数日後、またまた行方不明になったイフを捜索するバイアード。
 今回は地下の武器庫にある壺の中に隠れていた。古くなった槍や棍を差しておく壺で、大きさはかなりある。普段は差してあるはずの棍が床に散らばっていたから、すぐに居場所が知れたのだ。暗くて狭い壺の中に、イフは膝を抱えて入っていた。

「・・・・・・・・そんなんじゃない」

 壺の淵に手をかけて覗き込んでくるバイアードの顔を見上げながら、イフはぼそりと言った。

「じゃあ、なんでそんなに頻繁にいなくなるのだ。そんなにこの城は居心地が悪いのか?」
「・・・・・・・・別に。一人になりたいだけだ」
「ならば、せめてロゼに居場所を断ってからいなくなれ。毎回捜索に駆り出されるオレの身にもなってみろ」
「・・・・・・・・・・・のか」
「ん?」
「・・・・・・・・・嫌なのか?」
「何が?」
「・・・・・・オレを、探すの」
「・・・・・・・・・・・・・・」

 バイアードの目が点になる。まさか、そういう返答が返ってくるとは想像もしなかった。一方、呆けたような彼の表情にイフは苛立ちを覚えたようだった。

「!!! もういい!!」
「・・・・・・はっ(←正気に戻った) いや別に・・・・・嫌ってわけじゃないが」
「無理すんなよ」
「していない。いつも最初にお前を見つけるのはオレだからな。なんとなく、優越感は感じる」
「・・・・・・・なんだ、それ」
「だってお前、絶対にオレ以外には見つからないだろう」
「アンタがオレを見つけるんだ」
「お前、オレが来たら気配を消すの止めるだろう」
「・・・・・・・・・・なに?」

 怪訝そうに見上げてくるイフに、バイアードはにやりと笑いかける。

「他の連中が通りかかったら、徹底して気配を絶っているくせに、オレの気配がしたら気を緩めるんだろう。こりゃあ優越感を覚えるぜ」
「・・・・・・なっ!!?」
「お前、オレのこと好きなんだよなぁ」
「バ、バカ言うな!!」
「お、照れてるな。可愛いヤツだなぁ、お前」
「うるさい黙れ!! お前なんか大っ嫌いだー!!」
「はっはっは。言ってろ言ってろ」
「聞けよ! ホントのホントに嫌いだっての!!」
「はいはいよしよし。とりあえず出てこいな。ほれ」
「子供扱いするな!!」

 差し出された手を振り払って、イフは壺の中から這い出した。にやにやと癪に障る笑顔のバイアードを睨みつけて、イフはずんずんと歩き出す。

「ちゃんと執務室に顔を出せよ」
「分かってるよ!!」

 顔を真っ赤にして怒鳴り返すと、イフはそのままロゼのいる執務室へと向かった。扉を開けば、正面の机に腰掛けたロゼと、その横で書類を整理するアシュレイ・ロフの姿が目に入る。

「ロゼ、邪魔するぞ」
「あらイフ。良かった、やっぱりバイアードに探してもらうのが一番ね」

 にっこりと笑うロゼにほんわかしながらも、イフは必死に渋面を作って言った。

「そのことで、ちょっと話があるのだが」
「ロゼは今仕事中だ。話ならば後にしろ」

 聞き取り難いしわがれ声でアシュレイ・ロフが言う。イフは彼をじろりと睨みつけてロゼに向き直った。

「いいじゃないアシュレイ。なんなのイフ?」
「・・・・・・・アシュレイ・ロフを下がらせてくれ」
「仕事中だと言ったぞ。お前が退室するがいい」
「アシュレイ! ちょっとだけお願い。すぐに済むわ」
「ロゼ。武将を甘やかしてはならん。特にこういった特別扱いは全軍の士気にも関わる」
「・・・・・・イフは特別よ」
「ロゼ!」
「あなたには分からないわ! 軍の中でも私と同じなのは、イフだけなのよ!!」

 人間と魔族のハーフ。どちらにも属せず、どちらからも迫害されてきた、世界で唯一人同じ思いを味わってきた者。傷を舐め合うつもりなどなくとも、そこには言葉では表せない何かが、確かにあるのだ。

「席をはずして頂戴、アシュレイ・ロフ」
「・・・・・・承知した」

 重々しい鎧の音を響かせながら、アシュレイ・ロフは退室する。イフはその後ろ姿を見送ってから、小さく問い掛けた。

「・・・・・いいのか?」
「構わないわ。アシュレイは、私が何を言ったって気にしないもの。私はただの駒・・・・・・魔族を煽動させるためのただの傀儡なんだから」
「いやそうじゃなくて、仕事」
「え? あ、ああ・・・・・大丈夫よ。どうせ扉の向こうでアシュレイが片付けてるわ」
「そうか。ならいいな」
「ええ、構わないわ」

 結果的に政務をアシュレイ・ロフに押し付ける形となったのだが、ロゼは本気で気にしていないらしい。彼女は彼女で、なんだかんだとアシュレイ・ロフをいいように使っているのではないだろうか、とイフは思うのだった。

「それで、話って?」
「ああ、バイアードのことなんだが」
「あら、彼がどうかした?」
「・・・・・・アイツにオレを探させるのを止めてくれないか」

 思い切り渋い顔でイフは言った。ロゼは、その言葉に一瞬目を丸くする。

「どうして?」
「どうしてって・・・・・・大体、オレをそんなに心配することもないだろう。ここは魔皇軍の拠点で、オレはその武将だ。危険があるわけはない」
「危険を心配しているわけじゃないわ。貴方が、黙っていなくなってしまうんじゃないかって不安になるのよ」
「・・・・・・力を貸すと約束したろう。お前が大陸統一を果たすまでは、どこへも行きはしない」
「そんなの分からないじゃない」
「・・・・・オレ、そんなに信用ないのか?」
「そうじゃないわ、貴方が裏切るなんて思ってない。そんな甲斐性あるわけないもの」
「その通りだが、面と向かって言われるとムカつくな」
「他にどう言えと? ・・・・・・いえ、話題の焦点はそこじゃないわね。バイアードは、なんて言うか・・・・・・違うのよ」
「何が」
「立場? 貫禄? 何て言ったらいいのかしら。困った時には頼ってしまう、そんな存在」
「・・・・・・例えば、兄のような?」
「そうかもしれないわね。彼はここにいる誰よりも大人だもの」
「年齢はな」
「否定はしないわ。・・・・・・・って、そうじゃないでしょ!! もう、どうしてそう混ぜっ返すのよ!!」
「普通に返答してたくせに怒るなよ! それでついオレを探してくれと頼んでしまうと?」
「・・・・・・・それだけじゃないわ」
「はん?」

 首を傾げるイフに、ロゼは少し悪戯っぽく笑う。

「安心するのよ、貴方たちが揃っていると」
「・・・・・・・・?」
「あのね、バイアードがいて、イフがいて、仲良くしてるのが嬉しいの。バイアードがいてくれるなら、きっと貴方も大丈夫って思う。きっと私も大丈夫って」
「・・・・・・・仲いいのか? オレたちは」
「いいわよ。傍から見てるとよく分かるわ。イフがまともに話をするのって、バイアードだけじゃないの」
「それは、アイツ以外にオレに馴れ馴れしくしてくるヤツがいないだけだ」
「皆、貴方のゲート・オブ・ヘブンを怖がってるものね。でも、バイアードはそんなことを気にしない強さを持ってる。武力だけの意味ではなくね」
「随分とアイツを持ち上げるんだな」
「言ったでしょ、頼りにしてるもの。・・・・・・・好きなのよ」

 ロゼの告白に、イフはドキリとする。好きって、好きって・・・・・・・

「・・・・・・バイアードが、好きなのか?」
「? そう言ったでしょ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「どうしたのよ、イフ」
「・・・・・・・いや、もういい。じゃあな」
「え? ちょっとイフ!!」

 慌てて呼びかけるロゼの声を振り切って、イフは執務室を飛び出した。扉の前に正座して仕事をしていたアシュレイ・ロフにつまずいて盛大にスッ転ぶが、イフは構わずに脱兎の如く走って逃げた。
 その後ろ姿を呆然と見守るロゼは、イフに蹴飛ばされたアシュレイ・ロフを助け起こしながら呟く。

「ど、どうしたのかしら」
「・・・・・・誤解が生じたようだな」
「え?」
「ロゼ、これからはもっと言葉を選んで喋るようにすることだ。あのような短絡思考は、物事をストレートに受け止めすぎる。そしてその誤解をそのまま理解するから始末に負えん」
「・・・・・・・・・よく分からないのだけど」
「まぁいい。それよりも仕事だ」
「ええ・・・・・・イフ、大丈夫かしら」
「相手が相手なだけに、こじれる可能性は大いにあるが、お前が気にすることでもない」
「・・・・・・バイアードがなんとかしてくれるわよね」
「・・・・・・・・」

 ロゼのこの無神経というか、鈍器も真っ青な鈍さは天然だろうか、とアシュレイ・ロフは自らの魂の半身を疑わしそうに見つめたのだった。
 一方、イフはぐるぐると混乱する頭を抱えて城の中を走っていた。ロゼの告白がこだまのように頭に響いて離れない。

「バイアードが好きなの」
「バイアードが好きなの」
「バイアードが好きなの」
「バイアードが好きなの」

「ええい! うるさいぞ!!」

 顔を真っ赤にしながら怒鳴るイフに驚いて、彼とすれ違う武将たちが振り返るが、イフに彼らを気にしている余裕などありはしない。何処へ行くあてもなくただイタズラに城内を徘徊し続けるうちに、彼の思考はどんどんエスカレートしていった。

「バイアードが好きなの」
「今度告白するつもりなの」
「上手くいったわv 私たち恋人同士になったのv」
「今日はスペクトラルタワーでデートなのv」
「大陸の半分を統一したら婚約するのよv」
「大陸統一したら結婚するのよv」
「子供は二人欲しいわv」
「生まれたのよイフ、女の子よ」
「ねぇイフ、お嫁さんにどうかしら」

「黙れ黙れ黙れ!!!」

 頭を掻き毟って叫ぶイフ。暴走のしすぎにも程があるだろう。そろそろ誰か止めてやれ。
 混乱が極限まで高まったイフは、思い余って庭の噴水に頭から飛び込んだ。それを目撃していた多くの武将がぎょっとして、慌てて噴水の周りに集まる。

「わああ!! イフが入水自殺をはかったぞー!!」
「早まるな! こんな噴水で死ねるわけがないだろうが!!」
「誰か! 君主かバイアード殿を呼んで来い!!」

 水の中で武将たちの叫び声を聞いたイフが、がばっと水から頭を引き上げる。
 ぽたぽたと水滴をたらしながら、瞳をギラつかせて武将たちを睨みつけた。その鬼気迫る表情に、集まっていた武将たちは思わずぴたりと口を閉ざす。

「・・・・・・・呼んだら殺す!!」

 全身からどす黒いオーラを発して武将たちを脅しかけるイフ。友達のできない要因である。

「なんだぁ、随分荒れてるな、イフ」

 そこへ、たまたま通りかかったらしいバイアードが登場し、イフの気持ちは一気に奈落の底まで叩き落とされた。先程まで発されていたオーラはキレイさっぱり消え失せて、代わりにおろおろとうろたえ始める。

「ほら、お前たちは散った散った。どうしたんだよ、お前がこんなに注目を集めるなんて珍しい・・・・・・・・ってオイ」

 バイアードが人ゴミを掻き分けてイフの前に出てきた時、イフは噴水の反対側まで飛び移って丸くなっていた。噴水の影に隠れたいらしいのだが、背中と髪がはみ出している時点で無謀な試みは諦めて欲しいのもである。
 バイアードはどうしたものか、と差し出しかけた手を止めてしばし思案に暮れた。

「・・・・・・・おーい、イフ」
「・・・・・・・・・」
「隠れても無駄だぞ。半分くらい見えてるし」
「!! ・・・・・・・・」
「見えてるってのに。・・・・あーあー、犯人に告ぐ犯人に告ぐ。君は完全に包囲されている。抵抗は止めて大人しく出てきなさい」
「どこの出身だ貴様は!!」
「おお、諦めが早いな」

 バイアードのあまりにもお約束でくだらない行動についツッコミを入れてしまった自分の迂闊さに舌打ちしつつも、仕方なくイフはしぶしぶと立ち上がった。

「・・・・・・なんだよ」
「それはこちらの台詞だ。昼真っから何やってるんだお前は」

 まったくだ。

「別に、アンタには関係ない」
「関係を持たれたくないなら人前で自殺をはかるんじゃない。見てしまった以上、どうしたのだと声をかけるのは当たり前だろう」
「・・・・・・丁度いい。アンタに訊きたいことがあるんだ」
「ホンットに人の話を聞かんヤツだな。なんだ」
「・・・・・・ロゼを、どう思う」
「・・・・・・・・・・はァ?」

 突拍子もないイフの問いかけに、バイアードは眉間に皺を寄せる。今度は一体何を考えているのだろう、と本気で頭を抱えたが、イフは睨みつけるように真剣にバイアードの返答を待っていた。
 どうしたものかな、と首を捻りつつも、そこは素直に答えてやる。

「どうって・・・・・何が?」
「だから・・・・・・その・・・・・・す・・・・・」
「す?」
「好・・・・・き・・・・・か?」
「そりゃまぁ・・・・・・我らが君主サマだしな」
「そうじゃなくて!! お、女としては・・・・・どうなんだよ」
「はあぁ? あのなぁ、十代の少女に手を出すほど飢えてないぞオレは」
「・・・・・・・」
「大体、ロゼだってそんなふうに思われちゃあ迷惑だろう。今は色恋にかまけている暇はないんだからな」
「でもロゼは・・・・・・アンタが・・・・・・・・す、好きだって・・・・・・」
「・・・・・・・ロゼがそう言ったのか?」

 イフはこくりと頷く。バイアードは少々難しい顔をして唸った。

「そうか・・・・・そりゃあ困ったなぁ」
「・・・・・・困る?」
「ああ、困る。なんせオレには片想いしている相手がいるからな」
「え!?」

 驚愕に目を見開くイフに、バイアードはにやりと笑いかけた。

「しかし、切ない事に相手はオレのことなどこれっぽっちも想ってはくれていないらしい」
「そ、そうなのか?」
「ああ。なにせ、他の女とオレをくっつけようとするくらいだ」
「な!? 誰だそれは!! なんと無神経な!!」
「そう思うだろう。だから、そんな事をそれ以上言うな」
「当たり前だ!! 好かれていながら他の女をあてがおうとするなど・・・・・・・・って、え?」

 はた、とある可能性に気がついて、イフは言葉をきる。そんな彼を見下ろして、すぐ間近にバイアードの顔があった。

「ちょっ・・・・・・バイアード・・・・・・」
「おかげで繊細なオレの心は大いに傷ついたぞ。どうしてくれる」
「どうしてって・・・・・何が・・・・・何・・・・・」
「おいおい。ここまで言っても分かってくれんとは、つくづく冷たいヤツだ」
「だから、何が・・・・・・」
「お前が一番好きだと言ってるんだ」

 息がかかるほどに近くで囁かれた睦言に、イフは耳まで真っ赤にする。バイアードは朗らかに笑って彼の細い身体を抱き締めた。

「可愛いヤツだなぁ! お前は!!」
「なっ!? か、からかったな!!」
「ははは、バカ言え。本気に決まっているだろう」
「うるさい放せ!! お前なんか知るか!! もう二度と信用しないからな!!」
「なんだ、じゃあ今までは信じてくれていたのか」
「!! ち、違う! そうじゃなくて、だから!」
「信じていいんだぜ、イフ。その方がオレも嬉しい」
「信じない! 絶対に信じてなんかないからな!!」

 腕の中で暴れるイフを押さえつけて、バイアードはその耳もとに優しく囁いた。瞬間、暴れ回っていたイフは糸が切れたように大人しくなる。上昇していく彼の体温を身体で感じて、バイアードは大声で笑い出したい気持ちになった。

─── 本当に、素直なヤツ!!

「聞こえたか」
「・・・・・・・・・・・・」
「嘘じゃないぜ」
「・・・・・・嘘つけ」
「本気だって。もう一度言うか?」
「いい!! 聞きたくない!!」
「照れるな照れるな」
「いいって言ってるだろ!! やめろこのバカ!!」
「愛してるぞ」

 願わくばこの幸せが、永遠に続きますように ─── 

終わり


・・・・・・こういうのを書き逃げって言うんでしょうね・・・・・・・
アドイフは純愛らしいですよ、私の中で。ってーかテメェラこそ昼真っから何やってんだ。
なんだこの恥ずかしいバカップルぶりは・・・・・・
アシュレイ・ロフとか久しぶりに書いたなー。って現実逃避してんじゃねぇよ。
エロ入れようかと思ったのですが、イフは言葉嬲りで充分イけました(死)
これ以上は恥ずかしくって書けません!!(逝け)
鳴滝さん捧げまっす!!(コメントでも逃げ)

またまた乍サマに頂きましたv34567HIT小説でございます!
うわーんvいつもいつもありがとうございますッvvv
実際、イフが魔皇軍に入ってまともにやっていけるはずはありませんもの。<ヲイ
きっと端っこと暗がりが好きなんでしょうねv砂でも遺跡に居たし!
イフは動物に例えるなら、紛れも無く猫でしょう!!!
それにしてもイフの突撃的思考は爆笑モノでしたvv
ロゼと殿下の子だ。
きっと美人ですよvv
入水自殺を図るなんて、あー、全力で受け止めてあげますよ。イフvv
はわわ、素敵な小説をありがとうございましたvv
イフも大満足、私も大満足ですvvvvv


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